ご質問のような場合、農業収入は課税売上、家賃収入は非課税売上となります。したがって、農業収入にかかるものだけ消費税を預かります。
一方、負担した消費税には、農業収入のみにかかるもの(例えば、種苗費、農薬費)と家賃収入のみにかかるもの(例えば、賃貸マンションの修繕費)があります。さらに、帳簿をつけるための事務用品費などのように、どちらの収入にも関連するものがあります。
消費税は、基本的には、1年間に預かった消費税から1年間に負担した消費税を控除して納税額を計算します。
しかし、家賃収入のような非課税売上がある場合、消費税を預かるのは課税売上にかかるものだけであるので、その預かった消費税から控除できるのも、課税売上に関連して負担した消費税だけということになります。そこで、預かった消費税から控除できる消費税(控除対象仕入税額といいます)の計算が必要となります。
この控除対象仕入税額を計算するには、まず「課税売上割合」を計算します。「課税売上割合」とは事業収入全体のうちに課税売上が占める割合をいい、次の算式で計算します。
| 課税売上げ割合 = |
課税売上(税抜)
課税売上(税抜)+非課税売上 |
この課税売上割合が95%以上、つまりご質問の場合を例にとって見ると、農業収入が収入の大部分を占めているような場合は、家賃収入のみにかかるものや両方に共通してかかるものも含めて、すべて負担した消費税を預かった消費税から差し引くことができます。
課税売上割合が95%未満の場合は、「個別対応方式」または「一括比例配分方式」のいずれかの方法を選択し、控除対象仕入税額を計算します。それぞれの計算方法は次のとおりです。
| 個別対応方式 |
C×課税売上割合+A |
| 一括比例方式 |
(A+B+C)×課税売上げ割合 |
A ・・・ 課税売上にのみ要する課税仕入れに係る消費税額
B ・・・ 非課税売上にのみ要する課税仕入れに係る消費税額
C ・・・ 課税・非課税売上に共通して要する課税仕入れに係る消費税額 |
例えば、農業収入が1,050万円(税込)と家賃収入が1,500万円あったとしてみましょう。この場合、預かった消費税および課税売上割合は次のようになります。
1,050万円 × 100 / 105 = 1,000万円
1,000万円 × 5% = 50万円 |
1,000万円
(1,000万円+1,500万円) |
= 0.4 |
これに対し、負担した消費税が次のようであった場合、控除対象仕入税額は次のようになります。
農業収入のみにかかるもの
家賃収入のみにかかるもの
両方に共通してかかるもの |
15万円
20万円
5万円 |
|
(1)個別対応方式
5万円×0.4+15万円=17万円
(2)一括比例配分方式
(15万円+20万円+5万円)×0.4=16万円
この場合、より多くの金額を差し引ける「個別対応方式」を選択します。結果として、納税額は33万円(=50万円−17万円)となります。
なお、一括比例配分方式を選択した場合、2年間は「個別対応方式」に変更することができませんので注意して下さい。